え! ハーブの根はこんなに巨大!?
この日はあまりにも寒いので、ホットコーヒーを購入してから農場に向けて出発。道中、ふと見上げると中央アルプスの山頂が今年初めての雪化粧に染まっていました。
10月後半のこの日は、今年最後の収穫作業を行います。最後に残されたハーブは、農場でいちばん大きくて重い「アルテア」です。
皆さんは、アルテア(別名:ウスベニタチアオイ)を見たことはありますか?真夏には2メートルを超える高さまで成長し、白い花をいくつも咲かせます。
こちらは8月の農場に咲くアルテアの様子。農場長の山口の身長は172.5cmなので、比較するとアルテアの高さがよく分かります。
アルテアは、このような500円玉サイズの可憐な花をいくつも咲かせます。
アルテアの最大の特長は根っこに保湿成分が詰まっていることです。収穫した根っこを水に浸すだけで、しっとりとした保湿成分が染み出てきます。肌につけると「しっとり」でも「ベタつかない」。天然の化粧水です。
農場では、毎年100株近くのアルテアを栽培しています。全てを収穫するには農場を管理している3人では、息切れしてしまいます。弊社のスタッフに応援をお願いすると「ぜひ!」と精鋭8名が農場に駆けつけてくれました。この日は、心強い仲間が加わり、いつも以上に作業に気合いが入ります。
寒さ対策のカッパなどを着込んで、ホッカイロを付けて、作業開始です!まずは地上部分の茎などを草刈り機で刈り取っていきます。
続いて、本日のメインの根っこ掘りのスタート。根っこは草丈2メートルを超えるアルテアを支える土台です。土の中では深さ約1メートル、横幅に約1.5メートル以上にも広がっています。そのため、根を傷つけないように周りから慎重にスコップを差し込みます。体重をスコップに乗せて土に差し込み、掘る。これを繰り返します。
掘り進めること約10分。息があがってきたころようやく…
全貌が見えてきました。最後に根っこの真下にスコップを入れて、「どっこいしょ!」と引っ張り、ようやく掘り出すことができました。
まずまずの大きさで状態も良いです。ただ、アルテアの根っこの大きさはこんなもんじゃありません。もっと大きい根っこはこちら!
1メートル以上掘って収穫ができました。
「収穫が完了してこれで終了!」…ではありません。作業は、まだまだ続きます。根っこには土がびっしり付いています。化粧品の原料となるハーブなので土を完全に洗い落します。洗う場所はこちら!
手づくりの洗浄ステージが舞台となります。
収穫した巨大なアルテアを並べます。この作業でも一苦労です。
そして、高圧の水を根っこめがけて放水します。
ひっくり返しながらあらゆる角度から放水します。1度洗っただけでは、根っこの隙間に入りこんだ土は落ちません。完全に土が落ちるまで、何度も何度も洗い続けます。
そして最後に天日で表面を乾かして作業は完了です。
正面にそびえる八ヶ岳から冷たい風と太陽の優しい日差を受けてじっくり乾いていきます。早朝はあまりの寒さに驚きましたが、幸運にも、わずかに太陽が差し込んできました。お天道さまは私たちの日ごろの行いを良く見てくださっていたようです。
今年の収穫はこれで完了です。振り返ると7月中旬から雨が多く、湿気が苦手なハーブには過酷な環境となりました。それでも彼らは力強く生長し、収穫の恵みを与えてくれました。来年、ハーブがもっと力強く生き抜ける土台をつくるためには、これからの土づくりが大切です。この後は、「土を耕す」「自然素材で作った肥料を与える」といった土づくりを集中的に行っていきます。
ネイチャーズウェイ自社農場「明野ハーブ農場」について
明野ハーブ農場は、山梨県北杜(ほくと)市にある栽培面積3,850㎡の有機栽培を行う自社農場。明野ハーブ農場がある土地は富士山、南アルプス連峰、八ヶ岳連峰に囲まれた茅ヶ岳の南西部、標高800mに位置する丘陵地で、日本一日照時間が長いことで知られています。また昼夜の寒暖の差が大きいため、過酷な環境下でも耐え忍ぶ生命力の高いハーブが育ちます。
農場では、全20種類のハーブを栽培し、製品の原料としても使われています。
▲農場で栽培しているハーブの一部です
■国が認めた「有機JAS認証」を取得
さらに、明野ハーブ農場では、2012年より「有機JAS認証」を取得しています。
<有機JAS認証とは?>
有機JASとは、2000年に改正された日本農林規格(JAS)によって、有機農産物などの表示を認証したもの。 認証は該当物資の生産方法の確認に始まり、製造工程、流通方法、商品の保管・管理とその責任者の制定に至るまで細かく設定され、そして認定検査官の事前審査とオーガニックに関する講習を修了して認定となります。
<取得条件>
・最低でも3年以上は土壌に農薬を使用していない
・有機肥料であっても化学成分や重金属が含まれていないものを使用する
・土壌の性質に由来する自然循環機能の維持増進を図る
・環境・衛生管理の整備(外部からの異物流入や混入も防止)
・上記に関する管理プログラムの制定とその実施
・上記に付帯する全ての事項に関する第三者認定機関による検査および年次更新の審査
日本ではオーガニックコスメに関する法的定義が存在しないのが現状ですが、食品分野においては世界各国ともに法的な規制のもと厳格な定義があり、日本では「有機JAS」がこれにあたります。つまり、有機JAS認証を受けたハーブは、国が認めた公的な有機(オーガニック)農産物だと言えるのです。
スタッフ紹介
開発調査室
荒木真人
農業イベントを企画する会社に7年間在籍し、有機農家にて1年ほどの研修を経験。
「ハーブ栽培」「有機農業」に携わりたいとの思いから、2019年にネイチャーズウェイへ入社。趣味は旅行と読書と家庭菜園。