【ハーブ事典】エーデルワイス

エーデルワイスは、高度2000～2900mといった高い山に自生する高山植物です。背が低く、柔らかな綿毛に覆われた星形の形が特徴です。花本体は真ん中にある黄色い部分となり、花びらに見える白い部分は苞葉（ほうよう）といい、花を保護したり目立たせる役割をしています。

エーデルワイスの原産地はヨーロッパのアルプスで「キク科ウスユキソウ属」に属します。
このウスユキソウ属の植物は世界に30種類ほどあり、日本でも標高の高い山には「ヒナウスユキソウ」や「ハヤチネウスユキソウ」など数種類自生しています。ヨーロッパでは「エーデルワイス（西洋薄雪草）」の1種類しか咲かず、現在は法律によって保護されるほど貴重な花です。高山帯の石灰岩地に自生しているエーデルワイスは、過酷な環境下で可憐で可愛らしい形をしているので、スイスでは「アルプスの妖精」と呼ばれ愛されています。レモンや松を思わせるような揮発性の芳香があり、最新の研究では動脈硬化の予防や抗酸化作用などの効能も確認されています。

花言葉「大切な思い出」には、スイスのある登山家と地上に降り立った天使の物語に関係があります。
天空での生活に飽き、山の上で暮らしていた天使は、ある日山を登ってきた登山家と出会います。天使の美しい姿に心を奪われた登山家は、その日から何度も何度も山を登っては天使に会いにいきます。
しかし天使はそれを良く思わず冷たい態度をとります。叶わない恋に苦しんだ登山家は、「美しい天使を見ているだけで苦しい。どうかこの苦しみから救ってください」と神に祈ります。その願いが聞き入れられ、天使はひとつの花をおいて天に帰っていきました。その花がエーデルワイスとされ、「大切な思い出」という花言葉がついたといわれています。

スイスとオーストリアの国花であるエーデルワイスですが、日本では「エーデルワイス」という歌が特に有名です。現在でも音楽の教科書に載っているこの曲は、1959年にミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』の劇中歌として作られました。主人公のマリア達がドイツに併合され消えゆくオーストリアを想い、映画の最後に「エーデルワイス」を歌います。「エーデルワイス」は、その花を称えながら、祖国オーストリアを称える歌でもあり、多くの人の心に残り、現代でも世界中で愛される名曲となりました。