有用微生物の住み家となる「もみ殻 くん炭」づくり

2024.12.24

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農場だより 

ネイチャーズウェイの製品には、自社農場にて栽培したハーブが使われていることをご存じですか?農場の様子やスタッフのこと、ハーブ栽培の現場の雰囲気をもっと知ってもらうために、農場で働くスタッフから「農場だより」をお届けいたします。

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■微生物たちの住み家!「もみ殻 くん炭」

有機栽培を行う畑では化学肥料を施用しないため、栽培で不要となった有機物を有効活用する必要があります。そのためには畑土に暮らす微生物たちの力を借りて植物残渣を分解してもらい土をフカフカで保水性や排水性の良い土にしたり、植物の生長に欠かせない栄養分を作り出してもらう必要があります。今回はその主役となる微生物たちの住み家になる「もみ殻くん炭」づくりについてのお話です。 

素材となる「もみ殻」

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玄米は乾燥後の「もみ」を脱穀して得られる種の部分をいいますが、この時不要となる外殻が「もみ殻」です。もみ殻はひとつひとつが「小さな舟のような形」をしていますので畑土に混ぜると空気もいっしょに取り込んでくれるので根っこが生長しやすい環境を形成してくれます。

<もみ殻くん炭づくり>

そこに「もみがら」を山型に積み上げて山の内側から燃焼させていきます。酸素が少ない状態で蒸し焼きにすることで白い灰になりづらく、時折りかき混ぜながら時間をかけて炭化させることでさらに灰化を抑制することが可能となります。
 

燃えて赤黒くなったところを消さないように外側のもみ殻を混ぜ込みながら酸素量のコントロールを繰り返しおこないます。

-4時間後 この日は上手く均一に焼けたので水をかけて消火していきます。

水をかけながらレーキで混ぜながら広げ満遍なく鎮火させて温度をさげます。 ムラがあるとせっかくのくん炭が灰になったり逆に水が多いといつまでも乾かず撹拌作業が増えることでせっかく作ったくん炭が砕けてしまうため手際の良さと見極めが重要になります。

概ね乾いてきたので畑で使いやすいように袋詰めしておきます。

この袋も有機栽培の資材が入っていた袋でリユースしています。

一般的に30~40%の回収率と言われるようですが、この日はそれをはるかに超える7割以上の体積のくん炭をつくることができました。
現在はもっと手軽に作るためにドラム缶型などの器具を使う方法もあるようですが、今回の方法に比べると収量が少ないので希望収量を得るために余分に燃焼することになるため、わたしは手間がかかっても今回の手作り方法を続けたいと思います。
「もみ殻 くん炭」を畑の施用することで微生物の住み家としての役割が増し、難分解性の炭素は100年後炭素残存率も0.65(=土壌に投入した「もみ 殻くん炭」の65%が100年後も土壌に貯留し続ける)との試算が農水省からも情報開示されています。※1
自社農場ではCO2として放出されるはずだった炭素を長年にわたり貯留しつづけ少ない量ですが地球温暖化の抑制に貢献したいと考えます。

※1農水省HP 「バイオ炭の農地施用をめぐる事情」令和6年11月 より一部抜粋

    

     

    

ネイチャーズウェイ自社農場「明野ハーブ農場」について

明野ハーブ農場

明野ハーブ農場は、山梨県北杜(ほくと)市にある栽培面積3,850㎡の有機栽培を行う自社農場。明野ハーブ農場がある土地は富士山、南アルプス連峰、八ヶ岳連峰に囲まれた茅ヶ岳の南西部、標高800mに位置する丘陵地で、日本一日照時間が長いことで知られています。また昼夜の寒暖の差が大きいため、過酷な環境下でも耐え忍ぶ生命力の高いハーブが育ちます。

農場では、全20種類のハーブを栽培し、製品の原料としても使われています。

エキナセア
セイヨウノコギリソウ
ゼニアオイ
アルテア
タイム
ラベンダー
オウゴン
セージ

▲農場で栽培しているハーブの一部です

■国が認めた「有機JAS認証」を取得
有機JAS認証

さらに、明野ハーブ農場では、2012年より「有機JAS認証」を取得しています。

<有機JAS認証とは?>
有機JASとは、2000年に改正された日本農林規格(JAS)によって、有機農産物などの表示を認証したもの。 認証は該当物資の生産方法の確認に始まり、製造工程、流通方法、商品の保管・管理とその責任者の制定に至るまで細かく設定され、そして認定検査官の事前審査とオーガニックに関する講習を修了して認定となります。

<取得条件>
・最低でも3年以上は土壌に農薬を使用していない
・有機肥料であっても化学成分や重金属が含まれていないものを使用する
・土壌の性質に由来する自然循環機能の維持増進を図る
・環境・衛生管理の整備(外部からの異物流入や混入も防止)
・上記に関する管理プログラムの制定とその実施
・上記に付帯する全ての事項に関する第三者認定機関による検査および年次更新の審査

日本ではオーガニックコスメに関する法的定義が存在しないのが現状ですが、食品分野においては世界各国ともに法的な規制のもと厳格な定義があり、日本では「有機JAS」がこれにあたります。つまり、有機JAS認証を受けたハーブは、国が認めた公的な有機(オーガニック)農産物だと言えるのです。

スタッフ紹介

開発調査室
山口 浩

高校・大学で農業を学び、卒業後他業種に就職するもハーブの香りが忘れられず、ハーブに関われる植物化粧品を扱うネイチャーズウェイに入社。自社のハーブ農場も開園し、ハーブに囲まれ、ハーブに向き合い、ハーブ三昧な日々を送っています。