【ハーブ事典】ザクロ

ザクロというと、赤い実を想像する通り、直径6～10cm、重さ100～300gほどの赤くて丸い果実を実らせます。果実の収穫時期は、9月～10月ごろ。果皮がとても厚いのが特徴ですが、熟すとその厚い果皮が自然と裂けて、中から赤く透明でジューシーな果肉の粒がたくさん出てきます。ものにもよりますが、果肉の粒はおよそ800個ほどあると言われています。その果肉一粒ずつの中に種子が存在しています。

ザクロは古代神話に登場するほど古くから栽培されている果実。古代ユダヤの王であるソロモン王は、ザクロの果樹園を所有していたと言われています。当時の古代神話には、「神々がこのフルーツを好んだ」と記載されているそうです。

ザクロは種子が多いことから子孫繁栄や健康を願う女性に好まれ、「女性の果実」としても大切にされてきました。原産地であるイランやトルコから、ギリシャやエジプト、ヨーロッパに広まり、シルクロードを通ってインドや中国に広まっていきます。中国では、種子の多いザクロは子孫繁栄の象徴とされ、結婚式で飾られることもあるそうです。

赤くてジューシーな果肉が「血」や「死」を連想させることから、ザクロはギリシャ神話にもよく登場してきました。ザクロの花と実にそれぞれ付けられている花言葉「円熟した優雅さ」と「愚かしさ」は、ギリシャ神話のエピソードに由来すると言われています。

ギリシャ神話において、冥界（死者の国）では、そこの食べ物を食べてしまうと、完全に元の世界に戻ることはできないという決まりがあります。冥界の神ハデスはギリシャ神話の女神の娘であるペルセポネに恋に落ち、ペルセポネを冥界にとどまらせるために、冥界の食べ物であるザクロをこっそりと食べさせてしまいます。何も知らずにザクロを食べてしまったペルセポネは、その後半年ほどを冥界で過ごさなければならないのでした。

ザクロの実の花言葉「愚かしさ」は、ペルセポネのザクロを食べてしまったという行為に、ザクロの花の花言葉「円熟した優雅さ」は、ペルセポネの美しさに対して付けられたそうです。

ザクロの果実を真っ赤にしている色素が、ポリフェノールの一種であるアントシアニン。強い抗酸化・抗炎症作用があるため、美容に嬉しい成分です。
ザクロはミネラルも豊富で、カリウムが含まれているため、体内の余分な水分を排出し、むくみが解消したり、動脈硬化の予防に繋がると言われています。
他にもビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、葉酸、ビタミンCなど、健やかな肌をキープするために欠かせない成分を含んでいます。

さらに、ザクロ種子の中には「植物エストロゲン」が含まれています。植物エストロゲンは女性ホルモンに形が似ている物質で、大豆に含まれているイソフラボンも植物エストロゲンのひとつ。「美肌ホルモン」とも言われている女性ホルモンの働きをサポートすると言われています。